パルレ  〜劇 評〜


 ◆ 日本版初演劇評より抜粋

 韓国ミュージカル「パルレ」はソウルの大学路でロングラン中の小劇場ミュージカルだ。昨年この舞台に出会った保坂がほれ込み、演出家を招き日本版を完成させた。 「パルレ」は洗濯の意味。ソウルの路地裏の長屋に引っ越してきた27歳のナヨンは、洗濯物を干しに行って、隣の長屋に住むモンゴル人の青年ソロンゴと知り合う。辛く苦しい境遇にいながら、懸命に生きる市井の人を描いて心が温かくなる。様々な役を演じる脇もいい。再演される時はぜひ観劇をお薦めする。 
【2012年2月28日付毎日新聞 高橋豊氏(客員編集委員)】

 ソウルの裏町に住む庶民の哀歓を描いて、名作「地下鉄1号線」にも匹敵する韓国らしいミュ―ジカルだ。ソウルでは7年間のロングランを続けているという。【中略】 外国人労働者への差別や賃金未払い、主人公が働く書店社長の専横や不当解雇、さらには大家の老婆が一人で支える重度身障者の娘など、経済格差と景気低迷に苦しむ日本にとっても無縁ではない社会問題が満載されている。ハッピーエンドへ持っていくところはいかにもミュージカルらしいが、苦しくとも前を向く、という姿勢が好もしい。
【2012年2月11日付公明新聞 七字英輔氏(演劇評論家)】


 ◎ 日俳優たちが伝えるミュージカル「パルレ」の感動
 日本の人気俳優たちが韓流創作ミュージカル「パルレ」舞台で感動的な演技をみせて話題になっている。東京三越劇場で去る4日始まったミュージカル「パルレ」公演は、平日でも多くの観客が訪れて、ソウルの裏路地で繰り広げられる温かい日常を涙と笑いで描いた「パルレ」公演に、惜しみなき声援を送った。ピュアーマリーの保坂代表は、「これまで欧米の作品を中心に紹介してきたが、韓国の優れた作品を日本に紹介できてうれしい」、「大震災で苦しんでいる日本にパルレを通じて生きるエネルギーを届けたい」と語り、訪日して直接演出した脚本兼演出家のチュ・ミンジュ氏は、「韓国的な情緒を理解してもらうため、俳優たちとスキンシップしたり会話しながら、少しずつ心を開いて作品を心底理解して頂けた」と回顧しながら「人と人とをつなぐ『パルレ』の魅力を舞台上で十分に生かしてくれてとても感謝している」と話した。 
【2012/02/10 15:30 KST 聯合ニュース】


 ◆ 韓国版初演劇評より抜粋

 ◎ 韓国ミュージカルの垢を落とした、ぼろぼろな日常から育て上げた美しさ
 ミュージカル「洗濯」は澄んでいた。節ごとに込められた切ない歌は、心の奥についた垢をきれいに洗い落してくれる。誰かが、ミュージカルは華麗でファンタジーでなければと言った。しかし、ミュージカルでもぼろぼろな日常を、隠したい社会の断面を、込められることを教えてくれた。リアリティーの勝利であった。 
【2009年5月30日 中央日報 チェ・ミヌ記者】


 ◎ 借家生活の人生たちの悲哀、ユーモラスに描く
 作品の題名にもある“洗濯”は、現実は辛くても夢を忘れない希望を象徴している。”汚れた昨日を洗い流し、埃のような今日をたたき出し、しわくちゃな明日にアイロンをかける”という歌詞はこの作品のテーマだ。苦しい現実が改善されたり解決することはたとえなくても、劇はじめじめとした洗濯物のような路地裏の借家人生の悲哀をユーモアと情愛で洗濯した。
“洗濯”は移住労働者100万人時代と青年失業問題であわただしい今日を送る現代人に、生きることとは何なのかを考えさせる作品である。 
【2008年5月9日 週間同亜 チョ・ヨンシン コラムニスト】


 ◎ 苦しさも洗い流すミュージカル
 歌と踊りが大好きな国民性か、韓国はミュージカルが盛んだ。【中略】
登場人物の暮らしは貧しく苦しい。その苦しさをすべて洗い流してくれるかのように効果的に挟まれているのが、人々の洗濯しているシーンだ。社会的な問題も盛り込まれているが、ストーリーは単純で難しくない。韓国ミュージカルの底力がよくわかる作品だ。
【2010年11月29日 西日本新聞】

パルレVol.3 All cast interview



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